株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2022.07.25

自分の匂いは分かりにくい

拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

私、将棋をよく見るんですね。
最近では、女流棋士の里見香奈さんが、棋士編入試験を受けるということで。女性のプロ棋士が誕生すれば史上初のことですから、ぜひ快挙を達成してほしいです。

ところで、自分でやってもぜんぜん強くないんですけど、テレビ中継されている将棋では、けっこう手が当たることがあります。調子に乗って、なんだプロ棋士も大したことないな、なんて冗談を言ってみたりします。
実際には、試合全体で100手くらいのうち、10手も当たらないんですが。

ただ、冷静に見ているときは、少し手が見えるようには思います。
一方で、インターネット将棋を自分で打っていると、持ち時間が短いこともあって、ぜんぜん良い手が見えなくなってしまうんですよね。不思議です。まさに岡目八目。

ビジネスでも、そういうことってあります。

コンサルティングをさせていただくことがあるのですが、コンサルの役割というのは、これまで培ってきた知見をご提供するという面ももちろんあるわけですが、客観的に状況を見て意見を言う、これだけでも一定の価値があると思います。
当事者って、盲目になってしまうんですよね。

ときに、僕ら商売人は、「この店はお客様が来そうだな」「この店はちょっと難しそうだな」というのが、直観的に分かるものです。これは結構当たります。
小売店でも、飲食店でもです。
飲食店はファザードだけ見ればだいたい良い店か分かる、と豪語する食通がいらっしゃいますけど、あながち大げさではないと思います。匂い、があるんですよね。
いい店は、いい匂いがします。

看板、店の名前、外装、外にでているメニュー(その内容よりはメニューブックのしつらえ)、掃除の状況、そうしたものが雄弁に語りかけてくるのです。

小売店、私たちの商売では農産物直売所のことですが、これもパッと見て、いい感じかそうでないか、わりと分かります。
それを理論立てて説明するのは難しいのですが。

ところが、です。
自分の店になったとたんに、匂いが分からなくなるんですよね。
この現象は、自分の体臭が感じられにくいというのと似ていると思っています。

ほんと、お店が儲かりそうかどうかって、匂い、なんですよ。他に言いようがない。

だからこそ、客観的に見てくれる人が大事だったり、レジのデータをきちんと分析したりすることが大事になってくるんですね。

で、もっと難しいのが、経営者としての、リーダーとしての振る舞いですね。
他の組織のリーダーについては、いろいろ欠点も長所も目に付くんですよね。だからアドバイスもしようと思えばできる。
が、自分のことになると、とんと現状把握が難しくなる。
いつも暗闇の中でもがいている感じです。かれこれ10年以上になりますが(笑)。
年数も経ってきたものだから、余計なプライドとかも付いてしまって、もう何がなんだか。

なので、いろんな方の冷静な意見に耳を傾けるということをいつも意識しています。
ありきたりな結論ですみません。
ではまた。

※※エマリコくにたちでは、直売所運営のコンサルティングや執筆を承っております。お気軽にお声がけください。※※

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。

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