株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2020.12.25

今ではレコードの方が新しい

拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

いよいよ(?)年の瀬ですが、今年の経済界の大流行語のひとつに、「DX」(デジタルトランスフォーメーション)がありました。

で、先日、とある方に「リアルな小売店舗のベンチャーをやっています」と言ったら、「それは厳しいね」と返されまして。
私の父より年上の方なんですが、小売業に精通されている方です。

まあ、でも、生意気にも「ハア?」って思ってしまいました。(年商〇億円しかないのに!)

それで、唐突に話が変わるんですけども、新卒で社会人になりたての私って、すごい天狗だったんですね。

まあ、自分で言うのもなんですが、学生時代はそれなりに実績というか、そういうものを作ったという自負があったもので。大企業っていったって何するものぞ、ってなもんで。
でまあ、世の中の法則どおり、その鼻はへし折られるわけですけども。
自信無くして、まじで会社行きたくないなあ、そう思っていたのは、入社して半年くらい経ったときですかね。

いま、10年ちょっと前のその頃のことを思い返してみれば、先輩、あるいは自分のいた会社の風土に対して、ありがたかったなあ、とすごく感じます。
自信はなくしちゃうんだけど、結局、職場に愛があるから仕事を続けられるというような。
それもいわゆるメンターと言われる先輩ひとりだけじゃなくって、職場の人たちみんなが気にかけてくれる。また、複数の先輩の背中を見て(複数、ということころがミソ)、自分なりの仕事上の”らしさ”を見つけていけました。
だから、これも自分で言うのもなんだけど、一人前に成長することができたのかな、と。

なんでこんなことを書くのかというと、アナログなことって、すごく大事だなと思うからです。

世の中はデジタルの方向に進んでいって、今まではアナログでしかやりようがなかったものが、電子的なやり取りで済むようになってくる。

しかし、冷静に考えてみて、新人教育とかってデジタルでは難しいと思うんですよね。
2005年4月当時の「菱沼勇介」が、デジタル環境下でちゃんと真っ当に育ったかといえば、かなり疑わしいわけです。
今年の新人はまじで大変だろうな、と思います。

さて、ここで問題です!
大学時代のゼミの恩師である伊丹敬之教授(経営学)は、「企業組織には、3つのものが流れている」と書いています。それは何でしょう?

 

答えは、「お金、情報、そして感情」です。

結局のところ、仕事をするのって感情なんですよ。

約4年前に、このブログに、「社風が作られる瞬間に立ち会う」というタイトルの文章を書いて、社風を作ることをエマリコのメンバーみんなで意識していこう、と提起しました。
社風というのは、つまるところ、企業の中で感情がどういう起き方や流れ方をするのか、ということです。で、それをデジタルに扱うのって物凄く難しいわけです。
ちょっとカッコつけて言えば、いくら世の中がデジタルになっても、人の感情はデジタルにはなりませんから。

ときに、当社の野菜の発注、つまり農家さんへの出荷の依頼は、副社長の渋谷と集荷室長の大石の仕事なんですが、これもまあ、ものすごいアナログなわけです。
正直、効率的かといえば、そうではない。
たとえば、急きょ「ニンジンが欲しい」となったときに、一斉連絡のアプリとかなくて、ニンジンを持っていそうな農家さん一人ひとり順番に、LINEやら電話やらでヒアリングしていくというプロセスを踏みます。

集荷も自前でやっていますが、コストだけ考えたら、物流専門の会社にアウトソーシングした方がいいのかもしれない。
野菜のPOPも手書きです。年賀状も出します。

実際のところ、もう少し効率化できるところは効率化した方がいいかなあとも思います。
けれども、その面倒なやり取りひとつひとつが、ある種の感情を起こさせるわけです。
そして、アナログ重視の姿勢こそが、「まちおこしベンチャー」としての当社を特徴づけています。

このネット全盛期に(そして、DXが流行語になる時代に!)、リアル店舗で、リアル集荷で、リアルな繋がりをやっていきます。これからも。
ま、もうちょっとだけ、デジタルも入れていきますけどね。

ちなみに、これは時流に乗らないぞって話でもないんですね、念のためにいえば。

アナログレコードを聴くのがむしろ今では新しいように、こっちが最先端だと思っています。
(アナログレコードの国内売上は、過去10年で約10倍と驚くべき成長をしています。)

デジタル、デジタル言っている方がそろそろ時代遅れ、なのかもしれませんよ。
まあ、見てろって(生意気風)。

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。

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