株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2017.03.10

原料や技術のまえに大切なこと(石川酒造訪問記)

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拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

こんばんは。よく晴れた金曜日。ビールが美味しいですね。

福生市は石川酒造さんのビール工場を見学してきました。

下の写真は発酵タンクですが、立派なものが7つ、ズラリ。

さいきんは「マイクロブルワリー」と呼ばれるような、本当にガレージのような狭いスペースで作っているビール工房もありますが、石川酒造さんはビール工場と呼ぶのがふさわしい規模感です。

石川酒造の創業は江戸時代ですが、ビール作りは明治21年にいちど挑戦した歴史があります。これは札幌麦酒とほぼ同じ時期です。しかし、流通技術も発達していない当時、順調な成長が見込めずに断念した経緯があります。

それが、今日、復活しているのです。くにたち村酒場でも人気のビール『多摩の恵』がそれです。

ビール工場の前には、明治のときに実際に使っていたという仕込み釜が展示されています。すごい迫力です。

醸造責任者の清水さんから、ここに書ききれないくらい、たくさんのこだわりを聞きました。

でも、一番大切なことは、原料や技術ではなく、「サニテーション」(衛生管理)だというのが印象的でした。

すなわち、ビール酵母だけが活発に働いている環境でないといけない。空気中にある乳酸菌などの雑菌が混じるような環境では、すぐに味が壊れてしまうのだということ。少しの油断も許されません。

「こんな素晴らしい原料を使っている!」とか「ドイツで修業しました!」といったストーリーから比べると、地味な話で、雑誌記事のタイトルにもなりません。でも、日々の凡事の積み重ねが美味しさを作るのです。

僕らは、ふだん農家さんの畑仕事を見ているから、よく分かります。

清水さんのイチオシは、ピルスナー。ピルスナーは、ひとつの麦芽、ひとつのホップ、ひとつの酵母だけで作る。そして金色で透明に輝く液体が作られる。

研ぎ澄ますような純粋さに、職人としての腕が鳴るようです。

菌の繁殖を抑えるために工場のなかは常に冷えていて、ずっと工場で作業していると体の芯まで冷えてしまうそうです。そんな苦労もあって、美味しいビールになるんですね。

「美味しいものに、背景あり。」

このブログのタイトルにもなっている当社のモットーを、再確認しました。

石川酒造のビールは、開業準備中のクラフトビールパブでもメインを張ります。楽しみにしてくださいね!

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菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。

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