株式会社エマリコくにたち

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社長のBLOG

2019.02.03

東京の緑を守る、一丁目一番地

拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

先日、都民ホールで行われたシンポジウム「Green Connectio TOKYO 2019~みどりでまちが変わる!東京が変わる!」を聴講してきました。

冒頭に横張真東大教授がおっしゃるには、東京は世界の主要都市に比べてみどりの比率が相当に低いということです。

また、このシンポジウムで整理されていたことは、東京は東西に、ざっくり3分の1ずつに分けて考えられるということ。区部、中央部(多摩の東側)、西部多摩です。
そうすると、それぞれの地域で「東京のみどりを守ること」を考えた時の主題が変わってくると理解しました。

区部では、再開発での公開空地や公園の民間活用などが主な課題になってくる。
中央部では生産緑地の維持。
そして西部多摩では、生産緑地以外のいわゆる農用地と山林が残すべき緑として重要な課題となります。

興味深かったのは、都心部のみどりの面積は微増しているのだそうです。
それは、再開発などが行われるときに、建物の容積率を増す代わりに公開空地などができて、そこに緑が作られるのが理由ということです。東京ミッドタウンの広大な芝生を思い出していただければ、典型的ではないでしょうか。

さて一方で、西部多摩エリアの山林については、以前は盛んだった林業が衰退しています。

ただ誤解を恐れずにいえば、東京という世界的な大都市にあるみどり、という観点から重要性を考えた場合、市街地に隣接する農地はより大きな意味を持つと思います。
また喫緊性ということでも、東京の生産緑地は危機的状況といってもよいです。

したがって、「東京のみどりを守る」と考えた場合に、対策の一丁目一番地は、東京中央部(多摩)の生産緑地を守ることといえるでしょう。

シンポジウムでは、大都市である東京こそ、みどりが大事であると強調されていました。まったく異論ありません。
東京全体を「みどり」という一本の軸で見るという試みは意味あることだと思います。
ただ、危機感というか、喫緊性に対する感覚が東京全体ではかなりずれてくるな、そう感じました。

多摩エリアの市街化区域内における生産緑地の面積は、5.7%あります。北多摩西部(立川・国立・国分寺・昭島・武蔵村山・東大和)では7.6%ほどあります。これはまだまだ結構な比率であり、生産緑地は実にさまざまな役割をはたしています。
しかし、多摩の生産緑地の面積は2008年から2015年にかけて9%強の減少です。

この状況をどう打破するのかというのが、東京のみどりを守る、ということのはず。ちょっと我田引水的な話ですけども。

東京のみどりを守っていくのに、観点はいろいろあるけど、多摩の生産緑地に関しては待ったなしの状況である。
ということを、もっと東京全体で共有していかなくてはいけないな、そう感じさせられました。

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。

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