株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2019.03.09

支配からの卒業

拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

面白い世の中になってきていますね。

このあいだテレビで回転すし最大手のスシローの厨房が取り上げられていたんですが、「どのレーンにどのネタをいくつ流すのか」をシステムが指示してくれるようになっているんですね。
面白いです。
レーンにいま、どのネタが何個流れているのか人間が瞬時に数えるのは無理ですからね。機械が教えてくれる。

しかし、もっと面白いのは、全スシローで最も売上が高いという八戸店では、それを一部無視する。
八戸市民はイカが超大好きらしいんです。
なので、新しい来客があるとシステムの指示するネタよりもさきにまずはイカをどんどん流す。

システムを利用しながら、それが全てではない。アレンジをくわえて最高の売上をたたき出しているということです。

ところで、3月は卒業のシーズン。
今日は国立市での地域活性化活動、通称KF(NPO法人くにたち富士見台人間環境キーステーション)の卒業生を送る会に顔を出してきました。
KFは大学生が中心となって、商店主や市民と一緒に運営しているNPO法人です。なので、毎年、送りだされる卒業生がいるわけです。
かくいう私はその1代目の学生リーダーでした。

私が作ったシステム(仕組み)はまだ活きています。
たとえば委員会制。これはひとつひとつのプロジェクト(基本的に空き店舗ひとつで1個のプロジェクト)を独立採算制の個別組織=委員会にしたうえで、学生だけが担当したり市民だけが担当したりせず、混合チームにするという仕組みです。
意思決定のスピードを早めること、そして学生と市民がつねに近い距離でディスカッションすることといったメリットがあります。
KFが15年間続いてきたのは委員会制というシステムがあったからこそだと自負しています。

しかし、システムには必ず弱点があります。
委員会制の弱点は縦割りになりやすいことです。横の連携に弱い。あるいは、委員会同士の利害対立に弱い。
私はもう離れた立場から見守っているだけですが、代を重ねるごとに少しその弊害が目立ち始めているのかな、とも感じています。
(といっても、私が卒業した時点で4つの委員会がありましたが、それが今では6つの委員会になり、商店街のイベントの集客力も格段にアップしているのですから、すごいものです。)

システムは、不思議なことに、何やら完成されたもののように見えます。
もちろん、どんなシステムも人間が作りしものです。人間が作ったものである以上、必ず弱点があるし、壊してもべつに構わない。

しかし、いつの間にかシステムの方が人間を支配にかかります。
システムは踏襲する方が、余計なことを考えなくていいので効率的です。私たちの脳みそは効率的なことに傾くようにできています。
だから、「システムは壊してしまってもよいものだ」といつも強く念じていなくてはいけません。

エマリコでもシステムの支配というのはやっぱりあります。で、対策のひとつとしてジョブローテーションをもっと活用しようかと考えています。
効率的とはいえないですけど、人が変わると自然とシステムも変わりますから。

ちょっとばかり壊しにかかることといたしましょう。もっとよいものを作るために。

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。

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