株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2022.01.24

手書きPOPに魂を込めて

拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

10月から多摩市のアンテナショップを運営させていただいていますが、多摩市内には有名な酒屋さん「小山商店」があります。酒蔵とのネットワークもセレクションも素晴らしい、多摩エリアのお酒好きで知らない人はいないであろうというお店です。(地元産のお米で作った純米酒「原峰のいずみ」もプロデュースしています。)

聖跡桜ケ丘近くの店舗はとっても濃い空気をまとっているのですが、その一因が、銘柄の書いてあるPOPです。店外も店内も、すべて毛筆の手書きになっています。「花巴」「雁木」「仙禽」……。
勢いのあるタッチで、ほんとうに圧巻です。お店の方の気持ちが伝わってきます。
ぜひ以下の写真付き記事も見てみてください。
年商10億、驚異の酒販店・小山商店のよろずや精神と正直商売DNA

ところで、当社のしゅんかしゅんかの店頭でも、手書きのPOPが大半になっています。
それはなぜなのか?

直売所のアドバイスをさせていただくときに挙げる「手書きPOPのメリット3箇条」というのがあります。

1 ぬくもり感
2 鮮度感
3 目立つ

ぬくもり感、言いかえれば、「人間」を感じさせること。私たちのような小さなお店にとっては、ものすご~く大事です。むしろそれが競争力の源泉と言ってもいい。
スーパーはPOPが無機質なうえに、レジはセルフになり、日々の買い物はどんどん味気ないものになっていっています。
でも、買い物はただの家事ではなく、本来は楽しみのひとつでもあるはずです。
私たちが創業以来掲げるミッション「楽しい食卓のサポート」における「楽しい食卓」とは、買い物の時点からスタートしていると思います。買い物が楽しければ、料理も楽しく、そして食べるときも楽しくなるはずです。

鮮度感。
その日、何が来るか分からない。だから手書きでさっと書けなくてはいけない。
何が来るか分からないことは、店頭のスタッフにとってはちょっとたいへんですが、これも直売所の大きな差別化ポイントです。

「お、思いがけず、ふきのとうが出てきたぞ!春はもうすぐそこだなあ!」
そういう鮮度感。日々移ろっていく店頭の象徴としての手書きPOP。

そして、さいごに「目立つ」。
手書きって、なぜか目にとまるんですよね。
不思議ですね。人間、活字ってスルーしちゃうんです。
やはり人が書いたものには魂が宿っているということではないでしょうか。
活字の「オススメ!」と、手書きの「オススメ!」。
どっちが買いたくなるでしょうか?

このように手書きPOPの特徴を考えていくと、直売所の良さそのものだということがわかります。
アナログで、季節の移ろいがあり、販売する人間の魂がこもっている。

お酒でも野菜でも、インターネットでポチっとするだけで商品が届いてしまう時代。
そのアンチテーゼといえる私たち小規模店舗は、魂で勝負していかないといけません。
美味しいものを紹介したい、楽しい食卓に貢献したい。その気持ちだけは大手にはぜったい負けないぞ。

そんな気持ちをのせて、今日も手書きPOPが店頭を飾っています。

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

Photo

株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。

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