株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2023.01.26

不完全とともに歩め

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拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

このあいだ、目白のビルの地下駐車場をお借りしてマルシェをやりまして。
業務用の車が並ぶなかでの薄暗いマルシェ。
ちょっと異様な感じですが、1時間少々で完売しました。感謝。

ところで。
タイムパフォーマンスを略してタイパ。
最近はそう言うらしいですね。
どうなんでしょうね。

いや、タイパ、大事ですよ。
とくにビジネスにおいては。エマリコくにたちもベンチャー企業ですし、単位時間あたりの成果、とっても大事にしています。そこは異論がない。

でも、タイパばかり追い求めた人生って、ちょっと変じゃないですか?
え、そんなことわかっている?
そうですよね。みんな、そんなことは分かっている。

人生という時間は有限だから、タイムパフォーマンスは大事なんですけど。時は金なり。
しかし、人生という時間のなかに、タイパのよいものを敷き詰めていって完成した何十年ってどうなんだ、というね。うーん、難しい。

完全食、というものが登場しています。それだけ食べればオッケーってやつです。タイパは最高です。

これと同じ方向性にあるのが、最近よく目にするようになった、お酒は健康によくない、という記事です。お酒を禁止するということにまで言及するものもあります。
(お酒を飲んでいて長生きした人はいっぱいいますから、ケースバイケースなんでしょうけど。暴飲しなければね。)

お酒を禁止するようになっては、これは行き過ぎだと思うのですが、完全食で済ませようという方向性とこれは同根のような気もします。

でも、完璧でない方がいいんですよ、人生は。
ま、できれば仕事は完璧にやった方がいいけどね。
「菱沼さん、あえて不完全にやっておましたよ」ってのはナシで。

ともあれ、最近、畑でいろいろなイベントをやっていますが、完璧でない方が楽しいってことあります。
畑は、完璧にはなりえないんですね、自然のものなので。農家さんもイベントを受け入れるプロフェッショナルではないし。
でも、それが良かったりする。

2020年に「クルミド大学野菜学部」の企画を、クルミドコーヒーの影山知明さんと一緒にやらせていただき、そのことを学びました。

エマリコくにたちの創業ミッションのひとつは、『楽しい食卓のサポート』なんですが、この楽しさには奥行きがほしいです。
不完全なものには奥行きが生まれます。

買い物、調理、食事、それぞれを楽しいものにしていきたいのですが、買い物ということでいくと、エマリコの直売所は不完全です。かなり。
不完全すぎて経営者がビックリしているくらいです(笑)。

商品は揃っていないし、レジのオペレーションも洗練されてないし。
うーん、もうちょっと頑張りたい。

でも、前にもどこかで書きましたけど、Amazonが当たり前になり、スーパーは無人レジになっていく。
そういうところで、「家事としての買い物」「買い物を楽しむ時間」が分かれていくと思います。
エマリコの直売所は、日常づかいでありながら「買い物を楽しむ時間」、というポジションを維持していきます。

それは長い人生を埋めていくピースのなかで、タイパとは関係のないピースも大事だと、そう思ってくれる地元市民がそれなりの数いるのではないかと思っているからです。

そして、直営飲食店ではもちろん、お酒を大いに推しております(笑)。

今日も楽しく買い物して、楽しく乾杯してください!

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。

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