社長のBLOG
拝啓 東京農業を応援いただいている皆様
東京の田畑は、市民の理解がなくては維持できないーーこのことは、ずっと以前から(それこそ私たちが創業する前から)言われていることです。
「農業の方が前からあったのであって、住宅地は後からできた。農業が迷惑をかけているというのはお門違いだ」というのも正論ではあります。ただ、頭で理解することと、気持ちで理解することは異なります。市民には、気持ちの面でも、「この街に農業・農地があってよかった」と納得してもらうことが必要です。
そのためにエマリコくにたちは、「うまい!」に勝る気持ちへのアプローチはないだろう、ということで、採れたての野菜を販売したり、お酒も提供する飲食店を経営してきました。
「〇〇さんのトウモコロシ、最高だね!」って言っている人が、「農地?東京にはいらないんじゃない?」とはならないわけですね。
で、もうひとつ、べつの気持ちへのアプローチができるということで、この数年、それを試しています。
「うまい!」じゃなくて、「楽しい!」という感情へのアプローチ。
体験事業です。
一昨年から親子向けには「農いく!」、そして今年から大人向けに「イートローカル探検隊」を展開しています。
ですが、農家さんの話は面白いし、農産物が育つ様子も興味深いことは確かですが、とはいえ、ディズニーランドと比べれば地味ですし、どこまで感動してもらえるかな?というところもありました。
しかし、先日、第1期が終了した「イートローカル探検隊」は、自画自賛になってしまいますが、たいへん楽しんでいただけたようです。
“隊員”は10名。年代も性別も職業もバラバラでした。コンセプトは、『おいしいは、地元にあり!』、そして『大人の社会科見学』。
結果、私にとっても新鮮な体験でした。
というのも、複数の隊員から「畑に行き、美味しいものを食べて、童心に帰ることができた」という感想をいただきました。
ああ、なるほど、楽しいっていうのは、子どもの心に戻るってことなのか……。そう思いました。
考えてみると、大人どうしで「楽しい」を共有する機会ってそんなに多くないんですよね。
生きづらい世の中のアンチテーゼとして「イートローカル探検隊」があると思うと、ちょっと複雑な気持ちですけど(笑)。
上の写真は、ポールに仕立てられたナス(背丈くらいある)の合間を腰をかがめながら抜けているところなのですが、「なんだかジブリの映画みたい!」とみんな興奮していました。
畑って、不思議な開放感があるんですよね。
そういえば、親子向け収穫体験プログラム「農いく!」も、親御さんの方が無心に収穫してたりしますね。。。
で、第1期のイートローカル探検隊は、農家さん3軒、それにブルワリーととうふ屋さんを巡り、あっちに行ったりこっちに行ったり、地元でいろんな発見をしてまわりました。
次は、趣向を変えて、定点観測、をしてみたいと思います。
ひとつの畑に、4~5回訪れたら、どんなことを感じるだろう。
第1期が浅く広くなら、次の期はどっぷりと深く入ってみる、というわけです。
新年1月から3月のイートローカル探検隊は、イチゴ栽培をやっている国分寺中村農園さんでの「援農」をメインに据えたプログラムです。
国分寺中村農園さんは地産地消プロジェクト「こくベジ」の中心メンバーでもあります。
イチゴは、単位面積当たりの売上がかなり大きい作物なのですが、一方で、単位面積当たりの投入労働量も多い作物です。それだけにあの甘さのウラには、なかなか苦労も多いのではないかと思います。
ちなみに、”樹上完熟”といって、地元で流通するものは熟しきってから収穫します。だから、地元のイチゴは香りや味が濃くなります。
そうしたディープな世界が、すぐそこの畑、それこそJR国立駅からバスで5分ほどの場所にあるのです。地元ってほんとうに豊かです。それを知らない人が多いのはもったない気もします。
ということで、最後は宣伝になっちゃいますが、「イートローカル探検隊 援農部」、スタートします!
ぜひご検討ください。学割もありますよ。
詳細>>新春、イートローカル探検隊援農部、スタート!
https://emalico.com/information/ennou/
株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。