社長のBLOG
拝啓 東京農業を応援いただいている皆様
『ジャイアント・キリング』っていう言葉を知っていますか?
最近は同名のサッカー漫画が人気を博していますね。通称ジャイキリ。
弱小チームがだんだん強くなっていく過程を描いています。
そうそう、私の好きな東京ヤクルトスワローズ。基本的に弱いんですが、今年にかぎってはリーグ戦前半が終了して首位まで2.5差!
オリンピック明けの後半戦はジャイアント・キリング、下剋上が期待できそうだ!やばいよ、やばいよ~!(落ち着け、オレ。)
で、日本では昔から「判官びいき」とかいいますけども(判官は源義経のこと)、弱い者を応援する傾向が強いです。
小説でも和田竜のベストセラー『のぼうの城』、『村上海賊の娘』はどちらも強者に挑む物語ですし、『少年ジャンプ』の漫画なんかだいたいそうですし(「わくわくすっぞ」by孫悟空)。
強い人は強い。それは当たり前。弱い人が頑張る、そしてともすれば勝つ。そういうところにロマンがあります。
ところで、先日、母校である一橋大の学生さんのグループに、キャリアについて語る機会がありました。せっかくのご指名でございましたので、いわゆる先輩風というやつを存分に吹かせてまいりました。
就職活動もなかなか大変みたいですね。
コロナ禍で一部企業は採用を絞っているし、OBOGと交流する機会も減ってしまって、リアルな情報を得られないのです。
でまあ、だいたい、一橋大の学生は小売業や飲食業などに行くことは少ないわけです。あるいは、農業とか。
ということで、僕が偉そうに語ったところでは、「”ジャイアント・キリング”をやろう!」ということでした。
日本の産業のなかで、小売業や飲食業の生産性は低いとずっと言われています。日本の課題なのだそうです。
でも、学者やコンサルタントが外から言うのは簡単です。じゃあ、やってみせてくれよ、そう言い返すこともできるでしょう。
一橋大生が企業を選ぶ基準は、まあ外聞があるからカッコイイことも言いつつも、待遇面は判断要素として必ずあります。ありていにいえば給与が高い方がいい。
しかし、当該企業の給与がなぜ高いのか?
それを考える視野の広さを学生さんには求めたいのです。
創業してまもない会社は別として、それなりに続いている会社の給与が高い場合、理由は以下のどちらかです。
(1)その企業独自の競争力がある (2)その業界の特性として利益がでやすい
すなわち、給与が高いということは、すでに完成されているわけです。
……えー、つまんなくない?
一度しかない人生、完成されたところに行って終わりでいいんでしょうか?
やろうぜ、ジャイキリ!やってやろうぜ、下剋上!
少年よ、大志を抱け!
『少年ジャンプ』を読んで育ったんじゃないんか!!(落ち着け、オレ。)
渋沢栄一をルーツにもつ一橋大学は「Captain of Industry」=産業界のリーダー=の育成を建学の理念に掲げています(僕はこの理念が大好き)。
では、産業界とは何を指すのか?
製造業だけが産業という日本ではもうとっくにないです。多くの人が糧を得ているサービス産業こそ大きく伸ばしていく、あるいは生活の基盤となる農林水産業を支えていく、それもまた「産業界のリーダー」に求められることなのではないか。
個人的には、「東京農業」を世界に発信していく、これもまたジャイアント・キリングのひとつだと思っている。
そのような話をしました。
で、結局、現在のような平凡な就職活動を続けていると、生産性がすでに高い業界に優秀な人材が行き、生産性の低い業界に優秀な人材が行かなくなりますから、さらにこの業界間の差が開いていくわけです。
サッカー漫画の『ジャイアント・キリング』でも、監督が変わるところから弱小だったチームの流れが大きく変わります。
そういう存在が日本には必要と思うんですね。
ちなみに、私は来世では大谷級の天才プロ野球選手になる予定なんですが(笑)、読売ジャイアンツには行きませんよ。
だいたいですよ、巨人ファンって、お金かけて優勝して何が面白いの?って子供の時から思っていました。
あ、筆が走りすぎて、不必要な批判をしてしまいました(汗)。
いずれにしても、来世では弱小チームに行ってそのチームを優勝させたいと思いますね。
……んー、どうでもいい話になってきたので、今回はこのへんで。
追伸)ジャイアント・キリングなんて言いつつも、『マイナビ農業』で大企業がんばれ、という連載を書きはじめました(笑)。
シリーズ『大企業は農業を変えるか?』。ぜひご覧ください。
https://agri.mynavi.jp/serialization/corporation-changes-agri/?sort=desc
株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。