社長のBLOG
拝啓 東京農業を応援いただいている皆様
今年も「スイーツキャベツ」が出てきました。
なお、スイートではなく、スイーツです。
「スイー”ツ”キャベツ」で検索すると、東京都のページがきちんと1番上に表示されます。
生のままでもかな~り甘いのでぜひお試しいただければと思います。
各農家さんで糖度測定していて、9.0%以上の糖度のものだけにスイーツキャベツのロゴを貼ることができます。
東京の農業は、栽培も販売も十人十色であり、そこがいいところなのですが、ときにはこういう複数農家、複数地域にまたがったマーケティングを展開することも必要なのかなと考えています。
(かなり商品力があると思うのですが、当社のような規模の会社では専属のブランドマネージャーを置くわけにもいかないですので、ちょっと忸怩たるところはあります。なので、せめてブログでご紹介しました。)
参照: https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/nourin/nougyou/shinkou/sweets
ところで、いま、キャベツの価格が高くて、かなり話題です。スイーツキャベツのようなブランド化してなくても高い。高級スーパーではなくても1個1000円近くするお店もあるようです(私が知る限り関西近郊のスーパー)。
SNSでは、かなり怒っているようなコメントも見受けます。
これは誰に怒っているのか判然としないものも多いのですが。
農業関係者の多くは、お天道様に怒っても仕方ないよねえ、と思っているでしょう。
では、消費者は誰に怒っているのか?
政府でしょうか。農家や小売店でしょうか。
葉物野菜のように供給が天候に大きく左右され、長期保存ができないものを、政策によって安定供給化するのはかなり難しいと思います。豊作になったときに大量のフードロスが出てしまうからです。
フードロスを出してでも安定供給しろ、というのなら、筋は通っていますが……?
※ガソリンのように補助金で安くする政策は論外です。ただでさえ品薄なのに需要を増やしてしまうので。
同じように、農家や小売店が暴利をとっているわけでもありません。
供給が多いときは驚くような安値になるのが葉物野菜という商品。なので、利益が出ていないときもあれば、利益が出るときもある、と考えるべきです。
流通事業者のなかには、キャベツを逆ザヤ(仕入れ値より安く売ること)で売っているところもあると推測しています。キャベツ以外の商品も売っているので、全体で利益を確保すればよいと考えるわけです。予め注文を取る生協のような方式だとそういうことは起きやすいでしょう。
そういうこともあるので、仕入れ値から計算して価格を付けている”正直な”店舗が相対的に高く感じられ、叩かれてしまう面もあると推察しています。
ともあれ、私も世間話のなかで、「いま野菜が高いですよね」とかなりの頻度で言われます。あるいはテレビも話題にしています。
そのときに、安いときは何にも言わないのにね……、と心のなかでつぶやく。これは農業関係者に共通する反応だと思います。
けれど、ネガティブに考えれば、農業現場のことを消費者は分かっていない(それなのに公にツイートする)という結論になりますが、私は、食べ物というものは、みんな何かしら言いたいものなのだな、と捉えます。これはポジティブなことではないでしょうか。
毎日3食カップヌードルでも不満はないです、という人もまれにいるかもしれませんが、ほとんどいないでしょう。
食べ物は誰もが関心を持っている。
そういうレアな領域です。
「衣食住」と言いますが、服や靴に関心のない人は一定数いますし、住居の有り様に日ごろ情熱を燃やす人は多数派ではないでしょう。
でも、食についてはなにか言いたいし、共通の話題になるという世間の暗黙の了解がある。
ま、ありていにいえば、食べ物は世界の主役なんです。
だからこそ、街のなかに農業(漁業でもいい)があることは、地域のつながりを作っていくのに大切なことです。
多摩エリアでは、「こくベジ」がまちおこしの事例として知られていますが、「こくベジ」の周りに人が集まり様々なプロジェクトが発生するのも題材が食べ物だからこそだと思います。
誰もが関心を持っているからこそまちづくりの媒介役として最適であると同時に、他の産業と比べて、直接業界と関係ない人たちとも仲良くなりやすいです。とってもお得です。
そのメリットをもっと活かしていきたいところですね。
そういう意味で、キャベツの高値に怒っていたりする人もいるわけですが、国民みんなの関心が高いなかでごく一部そういう人も出てくるわけです。
「ま、主役だからなー、そういうこともあるよね」と考えましょう。
主演俳優はあれこれ言われるもの。人気者は辛いよってことです。
※さいごに宣伝です※
「立川印とれたてラリー」の第2回を開催します!
こくベジほどの規模ではないですが、同じように育ったらいいなあ。
今回はグランデュオ立川のテナントも参戦してくれました。12店舗の料理人が、立川産のとれたて野菜を美味しい料理にしてくれます。
1月23日(木)~2月2日(日)。詳細はリンクから!
https://emalico.com/information/20250110/
株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。