社長のBLOG
拝啓 東京農業を応援いただいている皆様
どうも、最近はもっぱら国産のクラフトビールを飲んでいる菱沼です。
クラフトビールには、小さな小さなブルワリーがあります。ガレージで作っている、というくらいの趣きのところがいくつもあるんですね。
で、今回は店のハコの大きさの話です。とくに飲食店について、です。(飲食店では店舗空間をハコと申します。)
近いうちにクラフトビールをメイン商材にした新店を開業する予定なのですが、こちらは、27坪・52席という予定です。飲食店としては、大箱とは言えないけど、けっして小さくもない、そういう大きさです。
帯に短し襷に長しといったところ。
そして、2012年にオープンしたくにたち村酒場も30坪・48席。なかなかの中途半端さです笑。
くにたち村酒場を開業したとき、もう少し小さい店の方がいいのに、という助言をまま頂戴したものです。
というのも、飲食店というのは、その空間が持っている空気がとても大事。その空気には、オーナーやスタッフの感情や哲学が醸しだされます。現代の消費者は、そこに漂っている空気やストーリーを消費している、と言っても過言ではありません。
で、濃い空気を作り出すのは、やっぱり狭い店の方が有利なわけです。
寡黙なヒゲ面のマスターがやっている、カウンター数席だけのバー。なんてものがあれば、それだけでめっちゃめちゃ空気が濃いですよね笑。
くにたち村酒場は、もちろん野菜には自信を持っているわけですが、狭ければ狭い方がそのこだわりが伝わりやすいというアドバイスはもっともだと思います。
で、ここでポイントなのは、私自身は、ヒゲ面じゃないし笑、濃い空気を作れるような人間じゃないということです。
経営管理とかコンセプトの発想はできるけど、じわじわと心に響いてくるような台詞を吐くわけじゃなし。
エマリコくにたちとしては、より多くの人に地元の野菜の魅力を知ってほしいわけで、あまり小さくてもその意味では波及効果が少ないというのもあります。
でも、逆に、100席200席といったあまりに大きな箱だと、それはそれで浮動票を獲得するプロデュース力も必要とされるのです。そういうのも今のところ持ち合わせていないですね。
それに大きいとスタッフの数も多くなるわけですが、そうするとスタッフを「管理」せざるを得ない。そういうなかで、エマリコが伝えたい「生産者の想い」などを浸透させていくのは至難でしょう。
中規模のハコの特性は、人間ひとりでは見きれないけど、スタッフは数名なのでコミュニケーションは行き届きやすい、ということです。スタッフ同士のチームワークで、飲食店が持つべき独特の雰囲気を作っていく。それが中規模店舗のやるべきことです。そして、それは比較的、うちの会社は得意なのではないかなと思います。
中規模店がチームが醸し出す空気感は、小規模なお店にはないオープンでカジュアルな感じを作れるし、それはそれでいいものです。小さいとディープになってしまいがちなんですよね。
だから、いろんな人に地元の野菜を食べてほしいという、会社のメッセージに沿った店になっていると思います。
ちなみに、私自身がサービススタッフとして、特別なテクニックがあったり、バーのマスターよろしくオーラがあったりしないことは、売上が証明していまして。
ここ2年くらい、だんだんくにたち村酒場の店頭に立つ時間を短くしているのですが、年々売上は上がっている笑。
(あ、これは社員には内緒ですけどね。)
エマリコの飲食店はチームを作る、チームワークで語る、今後もそういう方向性が似合っているのかな、と考えています。
【おまけ】今夜も1杯・その3
ベアードビール。伊豆。クラフトビール界のカリスマです。
「シングルテイク・セッションエール」は、セッション=アルコール度数が低い=だけど、しっかりとしたコクも香りもある。
http://bairdbeer.com/ja/beer/tsunen_dtl02.html
立川のバル「ハルバル」さんにて。(立川野菜のメニューあります。)
株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。