社長のBLOG
拝啓 東京農業を応援いただいている皆様
先日は、JA東京むさし三鷹地区の青壮年部の新年会にお呼ばれしましてお邪魔してきました。
生意気にも、少々、講演もさせていただきました。
ちなみに、青壮年部長で大きな植木農家、須藤金一さん(写真左)は大学の先輩です。01年3月卒業ということで、これは私が入学した年ですので、ニアミスでした。
農業者さん向けに講演するときには、集荷モデルについて聞かれることが多いです。
しゅんかしゅんかは、毎日3台の車が国立の事務所を出発して各方面に行きます。1台は国立と国分寺を集荷。もう1台は立川方面。最後の1台は、日野・多摩市方面を集荷します。
とても注目されている集荷モデルですが、どちらかというと、斬新なアイディアというよりも、苦肉の策という方が正しいかもしれません。
エマリコくにたちのお店は、鮮度高い状態で野菜を召し上がっていただくために、駅前の立地だったり、商業施設の中だったりします。ですから、農家さんが10軒も納品に来たら渋滞していまいます…。駐車場を用意したら物凄く高くついてしまいます。ですからおのずと集荷に回ることになりました。
しかし、この集荷スタイルは農家さんにとって大きなメリットがあります。
なにより出荷に時間を取られないので、農作業や農業技術の勉強に時間を割くことができます。
大都市東京では、農家さんに営業の腕があれば、販売先を見つけることは難しくないと私は思っています。しかし、それがかえって「罠」にもなる。つまり、販売先が多くて、農産物を納品に回っているだけで日が暮れてしまうということも起こり得るのです。
工場にたとえれば、農家さんは、社長であり、工場長です。自分自身の時間はとても価値が高いもののはずです。
そこで当社のように軒先まで集荷に来てくれる販路が一つ二つあると、とても助かるようです。
もちろん、なかには高齢の方が一人でやっているような農家さんもあります。そうした農家さんは車を運転しないので、JAの直売所に出荷することはできませんから、当社の車が行くことで初めて販路を持つことができます。
そして、もうひとつ、集荷のメリット。
まちなか農業を残していくというミッションの上では、農家さんのお嫁さんだったり、お母さんだったり、家族構成員のみなさんと触れられるのはとてもメリットが大きいと私は思っています。
つまり毎日の野菜づくりが市民のみなさんの役に立っているということを、工場長であるお父さん以外にもお伝えする。それはとても大事なことではないでしょうか。お父さんが自ら直売所に持ち込むパターンでは、他のご家族がお客様の声を耳にすることはありません。でも農業は家族みんなの支えがあって初めて可能な商売です。
うちの集荷ドライバーが伝える、「このあいだの新しい品種、人気ですよ!」なんて声を、家族みんなで共有してほしいのです。
当社の集荷モデルは、そういう副次的な効果も持っているのです。
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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。