株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2024.09.29

心のなかでは、みんな分かっていること

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拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

YouTubeの、かなりバラエティ色の強い番組で、すごく感動したという話をします。

『【地理チャンネル】とどーふ研究室』というチャンネルのなかの、

【多摩地区の中堅争い】府中、調布、三鷹、国分寺、多摩を都会度で徹底比較!!

という番組です。

いかにも下世話な感じするタイトルですねえ(笑)。

ちなみに、この動画に先んじて、多摩地区の第1の都市を決める動画が公開されていて、そのなかでは「横綱」は立川市八王子市で、「大関」が武蔵野市町田市、ということで認定(?)されています。

でもって、今回の動画では、さまざまな指標で都会度を測っていて(その指標の選び方がなかなか面白いんで見てみてください)、「関脇」が府中市調布市ということで結論づけられています。
残念ながら、三鷹市国分寺市多摩市はちょっと及ばない。
そして、府中と調布はけっこう栄えているけれども、それでも最初の4市(立川、八王子、武蔵野、町田)と争うのは難しいということです。
まあ、なるほどね。

ですが、話しはここでは終わらず。

「日野市に住んでいるAさんが買い物に行くとしたらどこに行く?」と問いかけられます。

(あ。多摩エリアに住んでない方には分かりにくいと思いますが、日野市は立川市と八王子市のあいだにある街です。)

23区に行く場合もあるでしょうが、近場で済ませたい場合は、立川もある、八王子もある、府中もある。まったく不便をしない、と解説されていました。
私は国立市民ですがまったく同感です。

そうしたときに、価値のある街とはなにか?と動画は問います。

「多摩地区においては、栄えていることよりも、田舎であることの方が価値があると思う」
「東京人が求めているのは、静寂であり、開放感であり、のどかな空気感である」

と喝破してくるのです。

いやいや!都会度でもって、ああだこうだと比較してたのに!
すっごい、ちゃぶ台返し!

くだらないバラエティだと思ってたのに……。
やられました。泣きそうです、まじで。

一般化すれば、この世のなか、希少なことの方が価値があるわけですね。
このYouTubeチャンネルでは、地方県の都市の比較もしていますが、地方であれば都会であることは自慢になるかもしれません。希少だからです。
でも、多摩地区においては、田舎度合いが高い方が希少性がある。明らかに都会性は間に合っている。

この番組では、日野市民を例に出していましたが、まさに日野市で田んぼを守ろうという活動があります。

TANBO NO WA。

日野市内で、1.3ヘクタールもの田んぼを借りて耕しています。お米の加工品も作っていて、しゅんかしゅんか武蔵境店で買えます。
トップ画像は、TANBO NO WAが活動する日野市百草地区に広がる田んぼの様子で、こうした風景は東京ではめちゃめちゃ希少になってしまいました。(ちなみに、手前の穂が黒いのは黒米です。)

先日、通りかかったら、ちょうど稲刈りの真っ最中でした。
大型コンバインではなくて、小型の稲刈り機です。

このブログを地方の農家さんが見ていたら、田んぼで1.3ヘクタールって、狭っ!と思ったことでしょう。でも、日野で1.3ヘクタールの田んぼを借りてやっているって、驚きのことなのです。
まして生産緑地は、2017年までは法律で貸借が規制されていましたから。

東京にも田んぼを風景を残したい。TANBO NO WAはそう考えています。
もちろん、エマリコくにたちも同じ思いです。

もうひとつ日野市の農業を紹介をしましょう。
直営のジェラートショップもやっている、モグサファームです。

日野市の高台で20頭の乳牛を飼っています。
かつては同じ地区に5軒の酪農家がいたそうですが、いまは1軒。

こうした古くからある仕事を守っている人に、すごくロマンというか感銘を受けるのは、私が若くなくなってきたからでしょうか?(笑)

周りは完全に住宅に囲まれているんですが、においのクレームはないそうです。ちゃんと管理したら牛はあまり臭くないんだよ、とおっしゃっていました。
ちなみに、モグサファームの牛糞は国立市の農家さんが肥料として活用していて、そこで育ったナスは「しゅんかしゅんか」に並んでいるんですよ。

子牛と触れ合えるようになっています。かわいいな。

ということで、日野の事例を2つあげました。
多摩地区のみなさん、地元の田舎的なことに注目していきましょう。

便利なのも大事ですが、田舎的なことをちゃんと残していかなくてはいけない。まして、人口は減っていくのです。
いや、心のなかでは、みんな分かっていると思います。

でも、もっと真剣に考えるタイミングに来ています。
切に、切に、お願いします。

■TANBO NO WA https://tanbonowa.com/
■モグサファーム http://www.artigiano-gelateria.com/farm.html

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。

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