社長のBLOG
拝啓 東京農業を応援いただいている皆様
世の中、いろんなビジネスがありますけども、モノ、それも自然に頼った商品を売るのってタイヘンです。いや、まじです。
先週、ゴールデンウィークの真ん中に、多摩エリアでは雹(ひょう)が降りました。
大粒。
ものすごい音。
私は室内にいたんですが、窓から外を眺めながら愕然としていました。
そのうち、道路は溶けた雹で川のようになり。土の部分は雪のように白く積り。
「まじか~~~」てなもんです。
そのあと、だんだんと情報が集まってくるわけですが、当然、農家さんの畑には大きな被害がありまして、しばらく品薄は免れなさそうです。
一方で、商品が多すぎれば多すぎたで損失になっちゃう。それがリテールという商売。
それでも。
それでも、リテールって面白いんですよね。
毎日、来てくれるお客様がいて。「美味しいね」って言ってくれて。
(ここでいうリテールには、小売業だけでなく飲食業も含んでます。)
この面白さは理屈じゃないんですね。このブログはおうおうにして理屈っぽいんですけど(自覚しているんですよ)、リテールの面白さは理屈じゃない。
「手仕事がすきだ」「人を教えることがすきだ」という人もいいると思うけど、それと変わらない。
「リテールがすきだ!!!」
まじで、世界の中心で叫びたいです。
人の好みはそれぞれでいいし、労働人口の全員がリテールやってたら世の中回らないんで、分かってもらう必要はないんだけど、でもこのことを分かってほしい、という矛盾した気持ち。
リテールの本質っていうのは、瞬間的に起きる所有権の移転です。
瞬間的な所有権の移転が、ここかしこ、次々と起きる。それがお店という空間。
(おっと、理屈っぽくなってきたぜ……。)
自分が知っている幸せがあって、それを、いまこの瞬間に、どんどんバラまいているという感覚。
「ありがとうございます!」
今日も言う、さも歌うように言う。
別に、お客様がお金をくれる存在だからじゃなくて。
この楽しさをくれる存在だから。
偉そうな表現になるけど、自分の手元に色とりどりのカードがあって、誰かにそのカードを1枚渡す。そうすると、その誰かが笑顔になる。で、間髪おかずに、違う人に違うカードを渡す。
そんな仕事。
小売店の商品棚や、飲食店のメニューブックには、誰かを幸せにするカラフルなカードが陳列されているのです。
「さあ、今日はどれにしますか?」
こんな仕事は、大金を積まれたってやめられないんです。
まして雹が降ったくらいではね。
株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。