社長のBLOG
拝啓 東京農業を応援いただいている皆様
メデューサを退治する。それを社内の合言葉にしようと思っています。
もとい、メデューサではなかった。“メンドウサン”です。
私たちは野菜という素材を売っている会社です。
なので、料理をする、という行為はお客様が行います。商売のためには、お客様に何がなんでも料理をしてもらわないといけない。

ですが、よほど料理が好きでたまらないという人を除いて、みんなどこか料理するのは面倒だな、という気持ちを抱えています。共働きが圧倒的になった現代ではなおさらです。
個人差は大きく、かなり強く面倒に思っている人もいるし、ちょっとだけだったり、あるいは日によってもその感情は異なってくると思います。それでも、多かれ少なかれ、面倒だなあ、と思う。
この消費者のなかに巣食う“メンドウサン”を退治することが、僕たち直売所には必要とされているわけです。
先日、試験的に、蒸してある数種類の野菜をパックしたものを国立のしゅんかしゅんかで販売しました。気づかれた人もいるでしょうか?
これもメンドウサンを退治するひとつの方法です。
予め蒸した野菜にドレッシングをかけるだけという選択肢を提示しているわけです。
ただし、これは根本的な退治法ではなくて、よりたくさん野菜を消費してもらうためにはしっかりと料理をしていただくことが必要です。
では、どうしたらいいのか。
その答えはまだ出ていないのですが、模索していきたいと思います。
ヒントとなることとして、ネットスーパーが思ったより普及していない、という事実がある気がします。
実用化されてからもう10年以上経ちます。もちろん徐々には市場は拡大しています。ですが、全員がスマホを持っているこの時代に、まだ大したシェアがない。ネットから撤退したスーパーもあります。
一方で、リアルのスーパーマーケットの店舗数はいまだ増加しているし、ドラッグストアも野菜やその他の食品をより強化するようになっています。つまり、圧倒的多数がいまだにリアルの場で生鮮食品を買っているのが現在の状況です。
ネットスーパーの成長曲線が思ったほどではない理由は複数挙げられると思いますが、そのひとつとしては、ネットだと気持ちが盛り上がらないということもあるのではないかと思案しています。
リアルの買い物をすることで気持ちが盛り上がってくる、いや盛り上がるという表現が大げさであれば、買い物をすることでなんとなーくスイッチが入る、それで料理をしようと思える。そういうことがあるように思います。
言いかえれば、一部の人にとって、買い物をすることと料理することは一連の行動になっているということです。
そのように考えると、買い物をする時間・空間がもっとポジティブでワクワクする体験であれば、料理もまた、ちょっと頑張ってみようかな、と思えるのでは?と考えています。
これがメンドウサンを退治する一つの処方箋なように思います。
ちなみに、メデューサを倒したペルセウスは、なんでも、「鏡のように輝く盾」と「空を飛べる翼」と「神聖なる剣」を神々から予めもらっていたそうです。
え、なんか、ずるくないですか。
まあ、そのくらいメデューサを退治するのは大変だったということで、メンドウサンの退治に不可欠なものもひとつだけではないかもしれません。
すなわち、買い物の時間・空間をワクワクさせたらよいという処方箋も、完璧なものではおそらくなく。まだまだ思索の旅を続けていきたいと思います。

株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。