株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2024.06.20

なんの変哲もない街の未来(多摩の2025年問題)

拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

先日、多摩エリアの大学の学生たちが観光まちづくりについて考え、アイデアをプレゼンする
『タマリズム』の会合に招待されまして、パルテノン多摩へ行ってきました。

(その時の様子はリンクから)
https://tamarism.com/news2024/?post_type=news

12校20チームもの学生がそれぞれにプレゼンしました。
当然っちゃ当然ですけれど、どれも個性的な、まったく違う内容でした。

言いかえれば、多摩エリアの盛り上げ方っていうのは無限大だなあ、と思いました。

私自身、学生時代に商店街活性化に携わっていたので(携わったという言葉ではヌルいか)、自分もああだったんだなあ、としんみり思いながら聴いていました。
ちょっと稚拙な内容もあって、少し厳しい意見も言った気もしますが、それは私が学生時代に、商店街や市役所職員の方から受けた”洗礼”に、今ではとても感謝しているからです。
もし、いま当時の自分のプレゼンを見たら赤面ものだと思います。

動画が残ってなくてよかった!
まじで。

で、学生さんたちがプレゼンしてくれたように、いろんな打ち出し方が街にはあると思います。
方法はなんであれ、街もトンガリを持つことが大事になってくるでしょう。

どの街もなるだけ生産人口を維持しなくてはいけないからです。

多摩エリアの人口は、2025年に減少に向かうと推計されているのです。

短期的には、マンションや戸建の開発をすれば人口減少を食い止めるでしょう。
幸いなことに、田舎町と違って多摩エリアにはその需要があります。
しかし、20年後、30年後はどうでしょう。

多くの街が厳しくなるでしょう。
そして、空き家がどんどん増えていくでしょう。空き家の増加は、街のブランドイメージとの間で、悪循環を生みます。

人口そのものは大きくは減らないとしても、生産人口が減ると住民税収入が減ります。
また、地価が下がると固定資産税収入が減ります。
地価というのは、ベッドタウンにおいては、街の魅力できまります。

ここで街の魅力というのは、企業の商品の差別化と同じで、「全員に好かれる必要はない」ということがキモです。
店舗ビジネスと同じように、全員に好かれようとすると埋没します。
すごく極端に言うと、ポケモン好きだけが住んでいる街やクラシック好きだけが住んでいる街があってもいいかもしれません。

また、単なる子育てに優しい政策などは、予算さえあれば模倣が容易です。
企業戦略の世界では、お金で買えるものは競争力の源泉でないことは常識です。
企業競争力の源泉は、独自の技術と企業文化ですが、これは街にもまったくそのまま当てはまります。

その意味で、国立市でマンション建設による景観問題が話題になっていますが、個別の事例への批評は脇においておき、景観や街の歴史を大事にするといった尖った方向性は必要だろうと思います。
それは思想としてというよりも、街の戦略として、です。

また、国立市は学生がまちづくりに参画している歴史が長いです。それもトンガリのひとつだと思います。

とまれ、2025年からの人口減少時代に対して、危機感を持っている街は少ないと感じます。

何の変哲もない街は、死すべし。
そのことをもっと多摩エリアで発信してきいたいと考えています。

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。

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