社長のBLOG
拝啓 東京農業を応援いただいている皆様
八王子って、パッションフルーツが特産品だということを知っていますか?
農協にも部会があるそうで、道の駅の直売所はもちろん、市内の飲食店でもけっこう活用されています。
(季節になるとしゅんかしゅんかでも扱っています。いまはオフシーズンです、あしからず。)
このあいだ、八王子市外のとある農家さんに、八王子のパッションフルーツ栽培を見学してみたいという依頼を受けました。おそるおそる、八王子でパッションフルーツを作る浜中園さんに「見学したい農家さんがいるんですが、ちなみに市外の方で……」と聞いてみました。
おそるおそる、というのは、八王子が特産品として打ち出しているのだから、そのノウハウとかは他の街には秘密なのではないか?と思ったからです。
しかし、浜中さんは「どうぞどうぞ」と快諾してくれました。
心が広い……!
ちょっと感銘を受けました。
農家さんどうしでノウハウ共有って、あまり多くないのです。まあ、他の業界でも、競合他社にノウハウをバンバン公開する人はいないと思いますけれど。
で、このとき、思い出したのは、「美食の街」と称されて世界的な有名なサン・セバスティアンのことです。スペイン・バスク地方の小さな街で、もともと美しいビーチを持つ観光地ではあったらしいですが、今や素晴らしいレストランやバルがたくさんあることで世界中から観光客を集めています。(行ってみたい!)
片田舎の都市サン・セバスティアンが美食で有名になった理由のひとつに、「料理人どうしがレシピを共有し合ったこと」があるそうです。
お互いに情報公開しながら切磋琢磨していった結果、美食の街として有名になった。ミシュラン星付きの店はスペイン全土に6つしかないですが、そのうち3つがサン・セバスティアンにあるということです。
つまるところ、敵はだれか?ということだと思います。
サン・セバスティアンという田舎の街のなかで競合するのではなく、全世界の観光地が競合だと考えるなら、おのずと切磋琢磨しながらもお互いに教え合うという発想になるはずです。
多摩エリアも同じかもしれませんね。
私の学生時代からの持論として、「多摩エリアの自治体が抱えている課題なんて似たようなものなのだから、良い取り組みをパクったらいい」というものがあります。
でも、現実は、すぐ隣の自治体の取り組みをぜんぜん知らなかったりするんですよね……。
すべての政策アイデアを自分たちで思いついて、ゼロから設計する必要はないわけです。
情報を互いに共有していけばいいのです。多摩エリアどうしで競争するのではなく。
そして、イマイチな政策もあるわけですね。試行錯誤は大事なので、政策も百発百中である必要はありません。でも、隣の自治体が失敗していることを、自分の街でわざわざやることはないです。
財政も有為な人材も限られているのですから。
うまくいったことも、うまくいかなかったことも。
価値のある情報は隣町に転がっているのです。
で、最後に宣伝です。
四半期に1回くらいで、クラフト酒場 クニタチカにて、多摩のコミュニティビジネス界隈の飲み会やってます。
コミュニティビジネス界隈と書きましたが、多摩エリアを盛り上げたいと思っている方ならだれでもOKです!
次回は、西東京市で活躍している若尾健太郎さんがスピーカーです。ぜひお越しください。
ほかの街の事例を知るのは大事です!お互いに、成功も失敗も、教え合っていきましょう。
※詳細はリンクから※
株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。